中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科
 中央大学 大学院理工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 竹内研究室

Research
IT融合に向けた次世代ビックデータ処理データベース ディペンダブル ワイヤレスSSDシステム 3次元積層LSI回路設計 ストレージ・クラス・メモリを使った超高速SSD
3次元ストレージ・クラス・メモリデバイス 0.5Vで動作する極低電力SRAM Fe-NANDフラッシュメモリ 教育方針
日本発の技術、フラッシュメモリの誕生により、iPhone・iPad・デジタルカメラが実用化されました。 フラッシュメモリの容量を100倍大容量化することで最貧国の子供達に10ドルのタブレットを配り、 インターネットを通じて教育ができるようになります。しかし、従来のシリコンの微細化、 メモリの大容量化は限界を迎えています。また、Google、Facebook、Twitterなど 「ビッグデータ」を駆使したインターネットの様々なサービスが生まれる一方、 インターネットに流れるデータ量が爆発的に増加した結果、 GoogleやFacebookなどのデータセンタの消費電力が増大し、地球環境に深刻な影響を与えています。 竹内研究室では以上の問題解決を目指し、ビッグデータを活用するデータベースのソフトウエア、 超低消費電力かつ大容量なストレージ、コンピュータシステムを研究しています。 システム・ソフトウエア・回路・デバイスと幅広い分野を最適化することで、 高速かつ低電力なクラウドICTシステムの実現を目指しています。
また、日々の研究は、東芝、三菱電機、富士通、NEC、PFIといった大企業やベンチャー企業など、 企業20社ほどと密接に連携して行っています。学生にとっては、 企業の研究者と接する中から学ぶことも多いでしょう。 また、開発した技術が新聞や雑誌で報道されることも多く、 自分の研究が社会でどのように役に立つのか、実感することができます。
研究内容は、①IT融合に向けた次世代ビックデータ処理データベース、 ②無線で通信・給電を行うディペンダブル ワイヤレスSSDシステム、③3次元積層LSI回路設計、 ④ストレージ・クラス・メモリを使ったSSD、 ⑤相変化材料や遷移金属酸化物を使ったストレージ・クラス・メモリデバイス、 ⑥立体構造3次元ナノメモリ、⑦高効率電源回路システム、⑧高信頼信号処理システム、 と非常に広い分野を扱っています。
Reaserch abstructs
 IT融合に向けた次世代ビックデータ処理データベース
1990年代のIT革命以降、GoogleやAmazonなどがインターネットをベースとした新たなビジネスで急成長を果たすとともに、 インターネットと親和性が高いスマートフォン、タブレットなどが登場してきました。 今後も、モバイル端末の広範な普及だけでなく、 自動車・ロボット等の多様な機器・機械のネットワーク化が進むと考えられています。 「人」がスマートフォンやPCを通じてテキスト・画像・動画等を送受信するだけでなく、 実世界の多様な「ビッグデータ」(機器・機械の挙動、位置・移動、購買、医療・健康、気温・湿度等) が人やモノによって送受信されるようになります。本研究では、医療・食料・住環境(電力・交通・水等) といった生活の基盤を支えるインフラにIT技術を積極的に使うことにより、スマートグリッド、スマートシティといった、 より効率的な社会システムを実現することを目指しています。 特に、IT融合新産業の創出を加速する情報処理基盤を支える新たなコンピューターアーキテクチャの研究を行っています。 ビッグデータをリアルタイムに処理し、高速な検索や解析を実現する、 SSDをベースにした(SSS:Solid-State Storage)やデータベースソフトウエアの研究を行っています。 本研究では、データベースソフトウエアとメモリ制御ソフトウエア(FTL:Flash Translation Layer)と フラッシュメモリ(ハードウエア)が密接に連携することで、 高速かつ低電力なビッグデータ処理を実現しました。 このように、サービス、ソフトウエア、ハードウエアの全体を最適化することで、 電気自動車の自働無人運転や都市のセキュリティシステムといったリアルタイム性に優れたサービスや、 スマートフォンなどの携帯端末によるゲノム解析が実現することが期待されます。 研究成果は2013年のSSDM(International Conference on Solid State Devices and Materials)で発表しました。 本研究は、 NEDO「IT融合による新社会システムの開発・実証プロジェクト」 として行っています。
 ディペンダブル ワイヤレスSSD(Solid-State Drive)システム
パソコンの記憶媒体として注目されている、Solid-State Driveの研究を行っています。 テラバイト容量のフラッシュメモリを搭載し、 書き換え回数やデータ保持時間の増加など使用に伴うメモリの信頼性の劣化、接触不良、 動作中の電源遮断や水への接触等の人的エラー、人体との接触による静電気破壊(ESD)など、 各種エラー要因に対してディペンダブルな、 1mmの通信距離で10-50Gbpsの超高速無線通信・給電機能を持ったワイヤレス ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を開発しています。 フラッシュメモリを微細化すると、隣接するメモリーセルとの間で電気的な干渉が生じ、 メモリセルのしきい値電圧が変動してエラーを起こします。 本研究ではこの課題を解決するために、 干渉の補正によるエラーの低減と高速な読み出しを両立する、 エラー予測LDPC(低密度パリティ検査符号)を開発しました。この技術では、 メモリセルを読み出しする際に、周囲に隣接するメモリセルのデータパターン、 書き換え回数、データ保持時間などの情報から、不良率を予測し、エラーを訂正します。 その結果、SSDの寿命を10倍延ばすことに成功しました。 研究成果は2011、2012年、2013年に半導体のオリンピックと言われるISSCC (International Solid-State Circuit Conference)で発表しました。本研究は JST戦略的創造推進事業(CREST)「ディペンダブル ワイヤレス ソリッド・ステート・ ドライブ(SSD)」 として行っています。
Dependable LSI
 3次元積層LSI回路設計
LSIを小型化・高機能化・低電力化する技術として、マイクロプロセッサ・イメージセンサ・ アナログ回路・DRAM・フラッシュメモリなど複数のLSIを1個のパッケージ内に積み重ね、 1個のLSIとして機能させる3次元LSIの研究を行っています。 従来の研究では各種LSIは独立して最適化されました。 当研究室では異種LSI間のレイヤーを超えて、 領域を横断して最適化することで、低電力・高機能なLSIを実現します。 3次元LSIの中でも特に、フラッシュメモリ・DRAM・フラッシュメモリコントローラーを 1個のパッケージ内に3次元に集積化(SiP: System in Package)したSSD(Solid-State Drive)の研究に力を入れています。 アダプティブ制御のブーストコンバータを用いた電源回路を開発し、 3次元SSDの消費電力を70%削減できることを、 実際にチップを設計・試作・評価することで実証しました。 研究成果は2009年のISSCC (International Solid-State Circuit Conference)と、 2010、2011年のSymposium on VLSI Circuitsで発表しました。 3D-LSI_1
3D-LSI_2
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 ストレージ・クラス・メモリ(SCM)を使った超高速SSD
DRAMのように高速でフラッシュメモリのように大容量なReRAM(抵抗変化型メモリ)・PRAM(相変化メモリ) ・MRAM(磁気メモリ)といったストレージ・クラス・メモリを用いた、 SSDとストレージ・クラス・メモリを制御するソフトウエアと制御ソフトウエアの研究を行っています。 Google、Facebook、Amazon、Twitterなど、 「ビッグデータ」を処理するクラウドデータセンタの高速化、低電力化を目指しています。 本研究では、高速に書き換えが可能なReRAMと大容量のフラッシュメモリをTSV(Through Silicon Via)で 3次元に接続した、ハイブリッド構造のSSDアーキテクチャを提案しました。 SSDに書き込むデータのサイズや書き換えの頻度など、 データの特徴を把握した上で、書き込むメモリの領域を最適に制御する、メモリ制御システムを開発しました。 その結果、メモリの断片化が抑制され、性能を11倍化、電力を93%削減、寿命を7倍化することに成功しました。 SSDの高速化により、スマートフォンでは高速に画像やデータのダウンロードが可能になります。 また、SSDの低電力化により、スマートフォンのバッテリ保持の長時間化や、 日本全体と同程度電力を消費していると言われている、データセンタの低電力化が可能になります。 研究成果は2012年にSymposium on VLSI Circuitsで発表しました。本研究は NEDO委託事業「高速不揮発メモリ機能技術開発」プロジェクト として行われています。
 3次元ストレージ・クラス・メモリデバイス
従来の半導体メモリとは異なる物理メカニズムで動作し、既存のデバイスには無い、 新しい機能を持ったメモリの研究を行っています。特に、 遷移金属酸化物を記憶素子として採用した抵抗変化型メモリ(ReRAM)と、 カルコゲナイド材料が結晶とアモルファスの間で相変化することで記憶を行う 相変化メモリ(PRAM)の研究を行っています。 これらの新しいデバイスはストレージ・クラス・メモリと呼ばれ、DRAMのような高速性、 フラッシュメモリのような大容量、という特徴を持ち、「夢のメモリ」と考えられてきましたが、 いよいよ、実現に近づいています。携帯電話機、パソコン、サーバーなど現在のコンピュータでは、 アクセス時間が、nsオーダーのCPUやSRAM、数10nsのDRAM、 1-10msのHDD・フラッシュメモリと階層構造になっています。 このようなコンピュータのアーキテクチャは数十年の間変わりませんでした。ところが、 高速かつ大容量なストレージ・クラス・メモリの出現により、 DRAMとHDDの間の5-6桁にも及ぶ性能のギャップを埋めることが可能になりました。 本研究では、このような新しい材料を用いたメモリ素子を3次元構造にすることで大容量化をはかり、 テラビットクラスの大容量を 実現することが目指しています。 既に、ReRAMやPRAMを桁違いに低電力化や長寿命化できる技術を開発し、 2012年、2013年のIMW(International Memory Workshop)で発表を行いました。 ReRAMの研究は NEDO「高速不揮発メモリ機能技術開発」プロジェクト 、PRAMの研究は NEDO「低炭素社会を実現する超低電圧ナノエレクトロニクス」プロジェクト として行われています。
 0.5Vで動作する極低電力SRAM
地球温暖化対策のために、情報端末、家電製品、サーバ、ルータをはじめ、 あらゆる電子機器の低電力化が必要となっています。この要求に応えるため、 本研究ではCPUに搭載されるSRAMを0.5Vという極低電圧で動作させる回路技術を駆使することで、 電力を1/10にすることを目標としています。低電圧動作のSRAMメモリセルにおいては、 データの入出力を行うパスゲートトランジスタは、データを読み出す際の電流を少なくする必要があるが、 書き込む際は多くする必要がある、という矛盾した要求を突きつけられています。 本研究では製造工程後にパスゲートトランジスタの絶縁膜中に局所的に電子を注入することでパスゲートトランジスタを非対称にし、 この矛盾を問題を解決しました。 さらに本技術ではトランジスタの特性がばらつきにより、SRAMセルの安定性のバランスが崩れる問題も、 電子注入により自己修復することに成功した。 研究成果は2012年のISSCC (International Solid-State Circuit Conference)、 2010年のSymposium on VLSI Circuitsで発表しました。本研究は NEDOグリーンITプロジェクト「極低電力回路・システム技術開発」 として、半導体理工学研究センター(STARC)支援企業の富士通マイクロエレクトロニクス、NECエレクトロニクス、 パナソニック、ルネサステクノロジ、シャープ、ソニー、東芝、富士通、日立製作所及び、 東京大学桜井・高宮研究室、平本研究室、神戸大学吉本・川口研究室、と共同で行っています。
 Fe-NANDフラッシュメモリ
フラッシュメモリをより一層大容量化する可能性を持ったFe-NANDフラッシュメモリを 2008年のNVSMW(Non-volatile Semiconductor Memory Workshop)で世界で初めて提案しました。 Fe-NANDフラッシュメモリはメモリトランジスタのゲート絶縁膜を、 従来のLSIでは使われていない強誘電体膜SrBiTaOと絶縁膜HfAlOの積層で構成しています。 Fe-NANDフラッシュメモリでは電界によって強誘電体の結晶格子内の原子を移動させて情報を記憶するため、 数ナノメーター(格子サイズ)の極限まで微細化できることが期待されています。 また、書き換え電圧を従来の20Vから6Vに大幅に低減することで低消費電力化、 書き換え回数を従来の1万回から1億回に高めることで高信頼性化を実現できます。 Fe-NANDフラッシュメモリの大容量・高信頼性・低消費電力の利点を生かして、 データセンタのストレージへの応用を目的に研究を進めています。
 教育方針
専門外に思える分野も相互につながっています。Tの字のように視野が広く、しかも特定分野について奥行きの深い、 “T字型人間”の育成を目指しています。まず研究テーマを基礎から深く掘り下げましょう。 当研究室はシステム、ソフトウエアから回路、デバイス、 物性物理まで幅広い領域を扱うので、 自分の研究テーマ以外にも興味を持ち見識を広めましょう。研究は、東芝、三菱電機、富士通、NEC、 PFIといった大企業やベンチャー企業など、企業20社ほどと密接に連携して行っています。 企業の研究者と接する中から、社会人としてのマナーや心構えも学んで下さい。さらに研究成果の実用化に関して、 知的財産戦略やマーケティイグなどの技術経営(MOT)や、シリコンバレーなどのベンチャー企業の動向を学ぶこともできます。

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